ゆとり世代のインド生活

いきなりインドの田舎にぶっ飛ばされ、インド人だけの環境にぶちこまれた哀れなゆとり世代の独り言。デリー、ムンバイへの憧れ。将来への期待と不安。大気汚染による健康被害への深刻な不安。

インド赴任まで その1

転勤は突然やってくる


転勤は突然やってくる。日本にいた時もそうだったが、周りは皆知っていて、自分だけ知らないなんて事がよくある。先輩社員は「気づかなかった?」と言ってくるが、鈍感な自分が気づくわけはない。どうやらヒントは色々あるそうだ。所謂、「今後」の話をしても仕方がなくなるので、そういった話題になると歯切れが悪くなるらしい。確かにネタ晴らし後に思い返すと、そうだったかもしれない。まあ、転勤のある企業に勤める以上、突然の辞令は避けられないし、それを承知で入社しているため、それを言っても仕方ない。サラリーマンは受け入れるしかないのだ。

 

インド行きは突然やってきた

転勤は突然やってくる。サラリーマンの宿命である。突然部長に別室に呼ばれる。わざわざ別室に呼ばれる用事など、異動のお知らせ以外の何物でもない。別室まで1分もかからないが、その間に色々と考えを巡らせる。本社かな、工場かな、どの部署かな、あの部署ならやだな。もう全て決まっているし、考えても意味が無いとは分かっているが、不安なのである。そこで部長の口から出てきた驚くべき単語に言葉を失う事になる。

部長「インドに行ってもらうから。」

目の前が真っ暗になった

A4サイズ1枚を贅沢に使い、余白を大いに余らせた「概要」では、到底そこでの仕事や生活を思い描くことなど不可能だった。そして困ったことに、部長に質問しても何も情報が出てこないのだ。
「いつ赴任するんですか?7/1付けになってますが、今5月末ですよ。」
「本社に聞かないと分からない」
「勤務地はどこなんですか?」
「本社に聞かないと分からない」
「家族帯同出来るんですか?」
「出来るんじゃないかな・・?でも聞かないと分からない。」
ただのメッセンジャーである。この時部長は自分も聞いたばかりだから何も知らないと言っていたが、数か月前から知っていたようである。当然だが。

まず妻に連絡する。
「大変な事になった。落ち着いて聞いて欲しい。」
その日は一日仕事にならなかった。まずは「インド」という検索ワードで片っ端から調査を開始した。

画像検索した際に死体の画像が出てきたときは本気で青ざめた。

そう、この日からインドとの闘いは始まっていたのだ。

続く。